法律第二百四十三号(昭二三・一二・一五)
◎水産業協同組合法の制定に伴う水産業団体の整理等に関する法律
第一条 水産業団体法(昭和十八年法律第四十七号)は、これを廃止する。
2 この法律施行の際現に存する漁業会、製造業会、都道府県水産業会及び中央水産業会(以下「水産業団体」と総称する。)については、前項の法律は、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
4 前項但書の漁業会は、前項の期間満了後は、その有する漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権の管理以外の事業を行うことができない。
5 第三項但書の漁業会は、その有する漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権を失つた時に解散する。
6 行政庁は、必要があると認めるときは、何時でも、第二項の水産業団体に対し解散を命ずることができる。この場合には、当該水産業団体は、当該命令に因つて解散する。
7 主務大臣は、第三項但書の漁業会に対し、その財産の処分、保全その他管理に関し必要な命令又は処分をすることができる。
第二条 水産業団体は、行政庁の認可を受けなければ、その資産を処分してはならない。但し、通常の業務として行う処分は、この限りでない。
4 第一項の規定施行前に水産業団体のした資産の処分に関する契約に係る資産の引渡及び代金の受領につき、同項の規定施行の日から二筒月以内に同項の認可がなかつたときは、当該契約は、解除されたものとみなす。
5 水産業団体が第一項の規定に違反してその資産を処分したときは、その行為をした水産業団体の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
6 前項の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第三条 水産業協同組合は、水産業団体の会員となることができない。
第四条 水産業団体の財産の分配は、各会員にその持分に応じて平等にこれをしなければならない。
3 前項の協議が整わないとき又は協議をすることができないときは、漁業協同組合は行政庁に対し裁定を申請することができる。
4 前項の裁定があつたときは、第二項の協議が整つたものとみなす。
5 第一項の場合には、漁業会の財産は、第二項の規定による協議の定めるところにより当該漁業協同組合に帰属する。
第六条 前条第五項の規定による財産の帰属があつたときは、漁業協同組合の組合員であつて漁業会の会員たるものは、その帰属の時に当該漁業会の出資を有しない会員となる。
2 前項の規定により出資を有しなくなつた会員は、当該漁業会の財産(漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権に対する部分を除く。)に対して有した持分を失う。
4 前項の規定による取得のあつた持分は、定款の定めるところにより、その全部又は一部を漁業協同組合の出資に引き当てることができる。
第八条 前条第二項において準用する第五条第五項の規定による財産の帰属があつたときは、漁業協同組合の組合員であつて漁業会の会員たるものは、その帰属の時に漁業会を脱退する。
第九条 漁業権若しくはこれを使用する権利又は入漁権を有しない漁業会の会員たる者の全部又は一部を組合員とする漁業協同組合は、行政庁の認可を受けて、当該漁業会に対し、その財産の分割を請求することができる。
第十条 漁業会の会員たる者の全部又は一部を組合員とする漁業協同組合は、行政庁の認可を受けて、当該漁業会に対し、その資産の譲渡又は債務の引受に関する協議を求めることができる。
2 前項の場合において協議が整わないときは、行政庁は、当事者又はその一方の申請に因り、当事者の意見を聴き、当該漁業会に対し、譲渡の条件を定めてその資産の譲渡を命ずることができる。
4 第一項の規定による認可又は第二項の規定による命令の取消又は変更を求める訴は、当該認可又は命令を受けた日から一箇月を経過したときは、これを提起することができない。
5 第二項から前項までに規定するものの外、第一項の規定の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
2 前項の場合には、前条第二項、第四項及び第五項の規定を準用する。
第十二条 この法律施行の際現に存する水産業団体(中央水産業会を除く。以下本条及び第十三条において同じ。)は、この法律施行後二箇月以内に総会を招集しなければならない。
2 前項の総会の招集は会日の少くとも十日前までに会議の目的たる事項、日時及び場所を公告してこれをしなければならない。
3 第一項の総会は、会員の五分の二以上が自ら出席しなければ、議事を開き、議決をすることができない。
4 行政庁は、第一項の水産業団体の理事又は清算人に対し、前項に規定する会員の出席を得るため必要な措置を採るべきことを命ずることができる
6 前項の規定は、第一条第三項、第五項及び第六項の規定の適用を妨げない。
2 前項の理事又は清算人は、同項の総会において、水産業協同組合法及びこの法律に関し詳細な報告をしなければならない。
3 第一項の総会においては、資産処理委員会の委員を選挙しなければならない。
7 資産処理委員会は、水産業団体の財産につき必要な調査をすることができる。
第十五条 水産業協同組合が第五条、第七条又は第九条から第十一条までの規定により水産業団体から財産の分割若しくは資産の譲渡を受け、又は債務の引受をする場合においては、有価証券移転税は、これを課さない。
2 前項の不動産又は船舶の価格は、水産業団体の売渡直前の帳簿価格による。
第十七条 第十五条に規定する財産の移転に関しては、地方公共団体は、地方税を課することができない。
2 水産業協同組合法第百三十一条の規定は、前項の期間内は、これを同項のものに適用しない。
第十九条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第十二号中「製造業会、道府県水産業会、中央水産業会」を「漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会」に改める。
第十九条第七号中「水産業団体」を「水産業協同組合」に、「水産業団体法」を「水産業協同組合法」に改める。
第九条第五項中「漁業会、製造業会、道府県水産業会、中央水産業会、」の次に「漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、」を加える。
第二十二条 地方税法(昭和二十三年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
六ノ二 漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会
第二十三条 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「道府県出資水産業会」を「漁業協同組合連合会」に改める。
第五条第一項中「中央水産業会、道府県水産業会、製造業会、漁業会」を「漁業協同組合連合会、漁業協同組合、水産加工業協同組合連合会、水産加工業協同組合」に改める。
第二十四条 金融緊急措置令(昭和二十一年勅令第八十三号)の一部を次のように改正する。
第二十五条 事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
第二十六条 この法律施行の際現に存する水産業団体については、第十九条、第二十条、第二十三条及び第二十四条の規定にかかわらず、この法律施行後でも、なお従前の例による。
この法律施行の期日は、その公布の日から起算して九十日をこえない期間内において、政令でこれを定める。但し、第二条の規定は、公布の日からこれを施行する。
(大蔵・農林・内閣総理大臣署名)